2009年03月31日

笹野みちるさん20周年記念ライブレポ

遅ればせながら、昨年11月に行われた記念ライブのレポです♪

『笹野みちる デビュー20周年記念ライブ 〜20年目は不惑で立つ!過去も未来もBe Here Now!!〜』

日時:2008年11月22日(日) 19:00〜
場所:吉祥寺 MANDALA 2


期待に満ちたライブハウスのステージに、笹野さん登場。立ち見もギュウギュウの客席を見渡して、笹野さんが「こんなにたくさん集まってくれて、ありがとねえ。ありがとう」と、もうなんだか、最初から、見ているこちらも感動して泣いてしまいそうな、幸せな空間。

まずは、「笹野さんの歌う姿といえば、これ!」というくらい、すっかり定番となった、エレキの弾き語りから。レインボーのストラップが色鮮やかです。やわらかく奏でられるコード進行に乗せて、笹野さんの歌声が流れ始めます。「導いてください……」祈りと日常をつなぐような、笹野さんならではの歌詞が印象的な一曲。『始まりの風景』です。

第一部では、一曲ごとにゲストが増えていきました。『京都町内会バンド』のメンバー、村田聡さん、有田さとこさん、それから、ドラムの小関純匡さんが登場。京町バの原田博行さんは、京都でご自分のライブがあり、残念ながら登場せず。「がんばってやー!ってメール来たから、返事書いたのに、ここ、……圏外で送れなかったんよ」という笹野さんのトークに会場が大ウケ。「無視したわけやないんよ、って、みんな、言うといて〜」という気遣いが、さすが笹野さんです。『おかげさまです』、『静かな静かな朝だった』など、京町バと、ミチルンサトコのナンバーを5曲。

休憩をはさんで、第二部。いよいよ、東京少年のオリジナル・メンバーが登場!
『ハイスクール・デイズ』、『Shy Shy Japanese』など、次々と懐かしいサウンドが! 後半は、笹野さんも「どんどんいくでー!」と言いながら(だってもう、みんな、今日はこれを聴きに来たんですからね♪)、客席も、イントロだけで大興奮しながら、気分はすっかり、渋谷公会堂の、あの伝説のラスト・ライブにタイム・スリップ。

鳴り止まない拍手が手拍子に変わって、アンコール。再び、東京少年のメンバーと、有田さん、村田さん、小関さんも登場して、東京少年の『GO! GO! HARAPPA』。「同じ目の高さで話せる場所、それが”はらっぱ”」という笹野さんの言葉を思いながら、「ぼくらの向こう」に思いを馳せながら、聴いていました。

曲が終わって、メンバー全員が退場しても、興奮さめやらぬ会場の手拍子は続き、当然のことながら、ダブル・アンコール。笹野さんお一人で登場。「東京少年の曲は、『GO! GO! HARAPPA』でおわりにして……」という説明のあと、今のお気持ちを少しMC。ラストソングは、『ミズヲヤレ』でした。「虚弱な才能の持ち主は……」という、何かを成そうとする者にとっては耳の痛い話がズラズラ並ぶこの歌、それでも最後は応援ソングだと思います。

ライブのあと、テッシーさんと、笹野さんに握手をしていただいて、「じゃあ、また!」と言葉を交わし、会場をあとにしました。とても充実した、素晴らしい時間でした。
笹野さん、みなさん、そして会場に詰め掛け、同じ時間を共有したみなさん、ありがとうございました!



<曲リスト>

第一部
『始まりの風景』(アルバム『ナカナオリ』収録)
『おかげさまです』(アルバム『スイスイ』収録)
『みえない植木』(アルバム『輝く記憶』収録)
『静かな静かな朝だった』
『漁夫の小父さん』(収録CDは下記参照)
『たゆむ夢』

第二部(すべて「東京少年」の曲)
『ハイスクールデイズ』
『Shy Shy Japanese』
『サイレントメビウス〜Sailing』
『性差別』
『涙色の海へ』
『ワンス・アポン・ア・タイム』
『どっかいっちゃった』
『れんがの学校』
『陽のあたる坂道で』


アンコール
『GO! GO! HARAPPA〜全ては僕らの間にあること〜』

ダブル・アンコール
『ミズヲヤレ』(アルバム『ナカナオリ』収録)



<アルバム紹介>

アルバム『ナカナオリ』は、笹野みちるさんの、ソロアルバムです。
全歌詞、試聴および通販は、こちらをどうぞ。
http://www.obu.to/shop.html#sasanocd

アルバム『輝く記憶』、『スイスイ』は、
京都町内会バンドのアルバムです。
通販は、こちらをどうぞ。
http://www.obu.to/shop.html#kcbcd

『漁夫の小父さん』は、ミチルンサトコとして、
『みんないい。〜今唄う金子みすゞ の世界〜』に参加された曲です。
コンセプトやインタビュー、および通販は、こちらをどうぞ。
http://www.soryaaromantic.com/kaneko_misuzu/index.html
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笹野みちるさん独占インタビュー(6/6)

笹野さん写真笹野みちるさん プロフィール

1988年「東京少年」のボーカルとしてビクターからデビュー。'91年バンド解散。京都に戻り、同志社大学経済学部に復学、卒業。 '93年、ビクタースピードスターよりソロデビュー。 '95年、幻冬舎より著書「Coming OUT!」を出版、ベストセラーに。同年アルバム「Girl Meets Girl」発表。女性アーティストでは日本で初めてレズビアンとしてカミングアウトしたことで話題を呼んだ。反響は大きく、ニュース番組・スポーツ新聞や雑誌等、あらゆるメディアから取材を受ける。しかし'97年、心身に不調をきたし東京を離れることを決意。再び京都に戻り「京都町内会バンド(KCB)」を結成して現在に至る。長かった鬱症状も'00年から氷解、'03年には東京・吉祥寺マンダラ2で半年間に渡る伝説的修行GIG“みちる庵”を開催。そのときの新曲を元に '04年3月、8年ぶりとなるソロアルバム「ナカナオリ」(ホッピー神山プロデュース)をリリース。'04年11月には原みどり・篠原りかと「吉祥寺三姉妹」を結成し、アルバム「mind forest」を発表。 '04年後半からは「エレキ弾き語り」にも挑戦し、バンド活動と平行して、心の赴くまま&乞われるままに弾き語りトーク&ライブを各地で行う。

 ♪最新情報は、こちらをチェック♪
笹野みちるメモ http://sasanomichiru.net/
これで全部よ!みちる庵 http://www.obu.to/~sasano/
京都町内会バンド http://www.obu.to/




なべ写真なべ プロフィール

わいんぐ編集長、ゆめすく企画副主催者。
http://www.yumesuku.net/waing/
雑誌さるす98年秋号『なべの北海道特集』を皮切りに、さるす誌上にて『タダネットスポット』、『勝手に回答コーナー』等の記事を企画・取材・作成。2001年、さるす休刊を受け、雑誌わいんぐ創刊。
趣味の篠笛(祭囃子)奏者として、高校時代より、地元の囃子保存会に所属。地域行事のほかに、かながわゆめ国体関連イベントなどに出演。現在は後進の指導にも従事。
他にも、ネット上で、朗読、モノマネなど、思いつくままに展開中。




*** 画像および記事の無断転載は、ご遠慮ください。***




≪笹野みちるさんインタビューいろいろ≫
ネット上で読めるものを探してみました。ぜひどうぞ。


笹野みちるさん独占インタビュー(1) - デルタG
笹野みちるさん独占インタビュー(2) - デルタG
(2008年3月24日)

#195 大事な人に出会いたいなら自分自身に戻ること | mammo.tv
(2006年)


第15回映画祭
(2006.6.15)

恵津子の部屋 / etsuko's room
(2003年)
同 京都町内会バンド
(2003年)
同 『みんないい。今唄う金子みすゞの世界』リリースにあたって
同 ミチルンサトコ


季刊[ビィ]Be!86号…特集/自分の思い込みを点検する(記事紹介のみ)
(2007年3月)

フォーチューン・ストーン★編集後記★
2008年08月30日に行われた、笹野みちるソロLIVE@東中野NOAH'S CAFE「納涼ビアガーデン風!生声カフェライブ」にて、「サマージャンボ宝くじ引き」なる、お楽しみがありました。

引き当てたフォーチューン・ストーンに書かれていた言葉は、『Open Heart』。(笹野さん直筆!)

ああ、これはもう、体あたりでお願いしてみよう! いつか、なんて悠長なこと言ってないで、今!
20周年の笹野さんを! 取材させてくださいっ! …というのが、ことの始めでした。

取材をご快諾くださり、貴重なお話をたくさん聞かせてくださった、笹野さん、そして、「わいんぐ」という場を続けさせてくれた、会員のみなさんに、心から感謝しています。本当にありがとうございます。

これからも末永く、みなさんのやりたいことができる、「やってみようマガジン わいんぐ」で在りたいと思います。どうぞ、よろスク♪



おまけのトーク。勢いだけでしゃべってます。(笑)




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posted by なべ at 00:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 笹野みちるさん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

笹野みちるさん独占インタビュー(5/6)

プロとアマチュアの違い

 今、インターネットがこれだけ普及して、プロとアマの境目が、あんまりなくなってきているっていうのが、いいことでもあるけれど、逆にちょっとイヤだな、っていうのもあって。明らかに、この人はすごい、違うでしょ、っていうところに、鈍感になっていくような。

 それは、難しい問題だよね。そういえば、友達が面白いこと言ってたんだけれど、ものすごく自分のヘヴィーな状況とか、抱えてる身の上の問題とかを語るときでも、語る動機っていうものによって、相手に与える印象が全然違う、っていう話ね。

 そういうの、ありますね。

 壮絶なことを語ってても、語り手のほうに、ものすごいドロドロとした、承認欲求みたいなものしかなかったら、ネガティブなバイブレーションしか発してないんだけれども、でも、同じようなことを語ってても、ものすごい客観視して、なんかそのことで、こう……なんていうかな……

 これがあったから今の私がある、みたいな?

 そうそう。この話を読み手に役立ててほしい、みたいな、奉仕精神というか。客観的な視点があって、そういう気持ちで書いてると、すごく癒しになったり。でも、それがなくて、すごく主観的に「わかってくれ、わかってくれ」になっちゃうと、やっぱり良くない、みたいな話してて。それは面白いな、と思って。自分自身を、ホントにもう突き放すくらいの視点が持てたら、たぶん自分もラクだし、人との関係も、ややこしいことには、あんまりならないのかな、っていうのは、基本的に思ってるね。

 プロとアマの壁は、歴然としてあると思いますか。

 自分が表現するときは、プロっていう意識はあると思う。「今、調子悪いんや、わかってや」っていう姿勢で表現は、しない。でもアマチュアって、そこで、エクスキューズ(=言い訳)が多い。相手にわかってほしくて表現してる。

 ええ。「今日は私、疲れてるからこれで勘弁してね」、みたいな。……あ、そういう意味で、さっきの、ヘヴィーなこと話すんでも、その人の話し方による、って話になるわけですね。

 そうそう。

 ああ、なるほど。つながりました。それは確かにそうですね。

 その、自分とテーマとの距離感っていうか。すごく距離をもって語ってるか、ぜんぜん距離がなくてグジャグジャのまま、相手に丸投げで、ただ単に「私を抱きしめてほしい」ってことだけで投げてるか。その違い。



笹野さんに人生相談その3「なべの出し加減」

 だから私も、私、っていうものが、どこまで、どういうふうに、人に迷惑をかけるか、かけないか、っていうのが、やっぱりまだ怖い、っていうのが残ってて。

 厳密な定義とかっていうよりも、中庸、って、あるじゃない、仏教の。

 仏教は勉強してないですけれど……中庸。手頃。ちょうどいい。

 そうそうそう。その、中庸ってさ、仏教では、自分の心が悪い意味で動いたりしない、不動心みたいなことのために、日夜修行しなあかんくらいのすごいことなんよね。それは数年前に、そうかあ、ってわかったんやけど、人を集める人っていうのは、そういうふうな心がけをしとくのが一番大事ことなんじゃないかって思う。基本的なところで、ある意味、なんにも心が動かない、っていう。

 ああ、私、なんでそんなにテンション高いの、とか言われるんだけど、自分の中はずっとこう、わりと平常心なんですよ。

 でもさ、それがあったら大丈夫なんじゃないかな。あとはさ、例えば誤解されたり中傷されたりしても、関係ない。相手の問題やから。相手の心の中の問題として、その人が暴れてたりするだけで、自分は関係ない。

 ただ、暴れてる人見ると、「なんでその人はそうなっちゃったんだろう」って、逆に、切り捨てられないんです。それは善人ぶるわけじゃなくて、やっぱり自分が、王道からはずれてて、みんなからはずれてて、見捨てられるポジションだ、っていう感覚があるもんだから、みんなが切り捨てようとする人を拾おうとしちゃう。

 でもそれ、自分が傷付きながらやってるんじゃなかったら、いいんじゃないの。余裕があるわけだから。まあでも、なんていうのかな……愛のある放任、みたいなのもあるからね。

 愛のある放任!

 直接的には構ってないけれども、背中ですごく見てる、みたいな。まあ、若さもあるけどね。自分が青いと、詰め寄るだけ詰め寄ってしまう。

 そうですね……何か言って、「きつい」とか言われても、今でもすでに、「昔、こんなもんじゃなかった」って思いますよ。(笑)



笹野さんに人生相談その4「なべの今後」

 自分をどこまで出すか、っていうのを今、考えてるのは、借りた部屋を開放して、一年間で、いかに多くの人に来てもらえるか、っていうのをやってみようかな、って。

 へぇー。

 それは、カフェもすごく参考になって。こういうのはやっぱり、笹野さんに会いたいと思う人にとっては、すごくありがたい場だな、って思ったんです。他にも、いろんなことがヒントになって。

 まあ、色々心配でも、それもなんか、突き詰めたこと言うと、自分自身がすごくハッピーになっていくと、そういうものを受付けない。

 あ、なるほど。跳ね除けてしまえる。

 そう。自分が本当の意味でオープンに、中途半端に開くんじゃなく、ドーンとオープンになりきったら、なんにも怖いことない。だから、どうせ目指すんやったら、そっち目指したほうが。

 そうですね。場を提供して、絵を見てほしい人は絵を飾ってってくれるとか。そういうふうになったらすごくいいな、って。……うまく回せるか、っていうのはあるんですけれども。

 まあでも、徐々にそうなるんじゃない? あとは、やってる人達の、心というか。

 場が、ね。

 育ってくれば。いいものホントに出して、受け取る、っていう。お金というものを介在しない、ビジネスっていうことじゃなくて、残る人は残る、っていう……すごくストレートに、これ見て気持ちいいとか……嘘がある意味、つけない。

 そう。(笑)

 金にモノ言わせて、みたいなことができない代わりに、本当に自分自身の霊性を高める、みたいなこと。

 そう、お金を要求しない代わりに、すごく気持ちを要求するから、たぶんキツイんだろうな、って思うんですよ。でも、そこを緩めちゃうと、バランスが崩れるような気もするし、でもあんまり言って、お互いシンドイところいっちゃうとヤだし。そこのバランスを、これから探っていくのかな、って気はしてるんです。矛盾するけれど、「部屋に入りきらないから場所借りました」みたいな感じでイベントに発展して、そのときにお金が動くなら納得いくかな、ってのも、思い始めてるし。

 ただ単に、お金、って、エネルギーの物理的な表現っていうかね。それが回ってたら。

 そうなんですよね。そういう意味では、お金も、ひとつのコミュニケーションのツールみたいな。

 ツールやね。あとは、なべちゃん自身の姿勢、っていうのも変わって来るかもしれないしね。

 そうなんですよね。ここまでで、だいぶ変わって来てるから。

 あとはだからホントに、親しき中にも礼儀あり、っていうのがあるよね。相手に対して、その人自身の存在っていうものをリスペクトするのを常に忘れない、みたいなものは、ね。そういう場合の礼儀として。

 はい。肝に銘じます。ありがとうございます。



笹野さんの今 そして今後

 今、やりたいこととか、ないんですか。

 ないなあ。ハワイ行きたい、くらいかな。自然とか、山とか、海とか。

 ああ、私も、屋久島行きたいなあとか。八丈島の話も聞きたかったなあって。(*3)

 京都でライブやったときに、だいぶしゃべったけどね。まあ……そんな、ないかな。

 でも、歌ってください、って言われる限りは、歌ってくれますよね?

 まあ……そうしかないのかな、って。

 そんな。与えられたものを、我々に与えてくださいよ。歌聴きたい♪ 歌聴きたい♪

 はっはっは(笑)

 聴きたい、っていう人達のために歌ったら、続くんじゃないか、って思うんですよ。

 でもそれって、すごく愛情マターの状態よね。これあげたい、っていう。それって、最初の頃とは、全然違うのよね。そこは徐々に、変わってきてるし。ガタガタ言わなくても、自然に、そういうふうになっていくかな、って。

(2008年9月20日 都内某所にて取材)




*3 笹野さん所属の「京都町内会バンド」最新アルバム『輝く記憶』は、八丈島で録音されました。[→アルバム紹介こちら





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posted by なべ at 00:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 笹野みちるさん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

笹野みちるさん独占インタビュー(4/6)

運と自己分析

 なんか……私、運が良くなくて。でも笹野さんは、『はじまりの風景』の歌詞の「導いてください」っていう、流れに乗るというか。

 でも私も、もともとはそんなんじゃないよ。どっちかっていうと、ものすごい、頭で考えるほうやし。

(ここで、なべが、飲み物を床にぶちまけてしまう)

 ……なんかもう、最近は、一つ良いことがあると、一つ悪いことがあると思うようにしてます。

 あはは(笑) ……どこまで話したっけ? ああ、頭を使いすぎる。

 そう、いかに頭を使わないか……最近、嬉しいこと楽しいことは、分析しないようにしてるんですよ。

 うんうんうん。

 なんか、嬉しいこと楽しいことって、分析してパーツにし始めると、崩れる。それがわかってきて。

 ほぉー。

 だけどイヤなことは……一つ良いことがあったら一つ悪いことがある、って思うようにしてる、っていうのは、アクシデントがあっても、とらわれすぎないようにする、って意味であって、そうじゃないもの……例えば自分の中にモヤモヤしたものがあるときは、原因を必ず突き止めようとするんです。「これか?これか?これか?これか?」って。それで、「あ、これだ」っていうのがわかると、安心する。それがわかると、解決策も見えることがあるから。

 それはさ、全部、自分自身の内面で解決できるものに落とし込んでいくの? それとも、原因が相手だな、ってところにいっちゃう場合があるの?

 うーん……人には、いかないかな。ああ、そういう意味ではね、人と何かをやってきてないんですよ。

 でも、それはそれでいいよね。恨みつらみにならなくて。

 うーん。いいのかなあ。でも、もしかしたら、だからつい他人も分析しちゃうのかも。ようは自己分析の延長なんですよね。例えば、何か言われてイライラしたときに、だいたい基本的に同族嫌悪だろうな、って思うから。

 まあ、大抵そうやね。

 そうですよね。だから、イヤだな、って思ったときに、自分のこういうところと同じだからイヤなんだな、って思うから、別に相手に対して腹が立たない。あなたを嫌いじゃない、ただその言動はどうなの、っていう感じなんですよね。しかも、その人自身も、たぶん、そこで何か、ひっかかってるからこそ、私のところへ来るんだろうから……って思うと、言っちゃう。それでその人がラクな状態に変わっていくならいいなあ、と思うから。人が変わっていくのを見るのが好き、っていうのは、それこそ、笛教えてても、あるんですよね。私の前で笛吹くだけでも、緊張してガタガタ震えてた子が、太鼓に合わせて吹けるようになったりすると、もう本当に、ああ、人間ってすごいなあ、って思います。



20周年への感謝

 自分が変わっていく、ってことについては?

 自分も、もちろん……ここ2、3年で劇的に変わってきたところはあって……

 なんか元気になったよね、前より。印象として。

 ありがとうございます。(笑) あのときはねえ、あんときは……やばかったんですよ。(笑)

 やばかったよねえ。やばかった、やばかった。まあ、そういう時期は、あるからね。誰でもねえ。(*1

 本当に、なんか……そう、だから、20周年、おめでとうございます、っていうよりも、ありがとうございます、っていう。

 あはは(笑)

 本当に。ファンとしては、やっぱり活動を続けてくださってることは、ありがたいんですよ。この前のライブの時に、改めて思ったんですけれど。カフェも、笹野さんの手料理が食べられるなんて、それこそファンにとっては垂涎の! こんなことが起きるなんて! 現実になるなんて! って、本当に、嬉しかったですけれども。

 ねえ。面白かったよねえ。(*2)

 ええ。それで、カフェに行ったことをブログに書いてるファンの方もいらして。だけど、あまりにも緊張して顔あげられなかった、って書いてあって。そういうのを見ると、ライブで笹野さんにまたお会いできることが、すごく大事なことだと思うんですよ。その人も、ライブのあとに笹野さんとお話しできたら、それでまた、勇気をもらったり、自信になったりすると思うから。

(ここで、店員さんが来て、飲み物をもう一度持って来てくれると告げる)

 替えてくれるって。良かったねえ。

 ああ。やっぱりいいことある。(笑)

 あはは(笑)



幸せと不幸

 いいことあるって思う。なんか、グチグチ言ってる人は、どんどんハマってってるよなあ、って思う。

 たぶんそんときの、その人の状況みたいなものにも関わるからね。うまくいくとき、いかないときって、意識のバイブレーションみたいなものが関わってたりとか。

 最近、成功哲学みたいな本、山ほどありますよね。あれなんか、どれ見ても、だいたい、まずハッピーだと思え、って書いてあって。

 いやあ、あながち嘘じゃないよね。だから結局、成功のためのセオリーって、ないのかもしれないよね。うまくいくかどうかっていうのは、内面の状態次第であって、どんなイヤな状況であってもハッピーな人って、いるかもしれないし。

 そうなんですよね。それは逆に言うと、裏を返せば、どんな状況でも不幸な人はいて。

 そうそう。

 そうそう。だから、「あの人、あんなにいろんなことができて、すごい」って思っても、でも、そういう、自分ができないことができて羨ましい人でも、実は、そのレベルでの、その人なりの苦しみとか悩みとかがあって。

 きりないよね。

 きりないですよね。だからやっぱり、現状に満足するっていう……でも、あんまり現状に満足すると、さっきの創作意欲の話もそうだけれど、今度は向上心がなくなる。もうホントに何にもしなくていいみたいな。

 ホントそう思うからね。



つながる意味

 たぶん、そこが、つながる意味なんじゃないか、と思うんですよ。自分はこれができて、これが満足だから、ここでいいんだけれども、他の人にとってはそれが羨ましくて、それを見たい、っていうのがあって。

 なるほどね。

 だから、笹野さんの中で歌う理由がなくなっても、……この前ライブで思ったのは、やっぱり声、歌声。やっぱりすごくいいなぁ、って思って。それはもう、本人がそう思わなくても、周りがそう思う、っていう。だから私も、この自分なんてどうでもいいと思っても、その私が好きだ、って言ってくれる子がいる限りは、私で在ろうかな、って励まされる。違うからこそ、惹かれあって、この人のこういうところをまた見たい、って思うのが、つながる意味であり、人間が多様である意味、なんじゃないか、って。

 それはすごい、いい話やね。でもホンマにそれはそうやと思うわ。

 それって結局、WIN・WINの関係って最近言いますけど、GIVE&GIVEで。お互いに、自分の持ってるもの出しあって。

(店員さんが、飲み物を持ってきてくれる)

 今度は、こぼさないように。

 ホントですね。今のうちに全部飲んじゃう。(笑)

 あはは。(笑)

 そう、だから声……カフェもすごく良かったけれども、やっぱり、私はこの人の歌が聞きたいな、って、すごく思ったんですよ。だから今も、歌ってくださってるから。ありがとうございます、って。思います。







*1 一時期、東京と京都で行われる笹野さんのライブのほぼ全てに、なべが通い詰めていた頃のこと。(一年間くらい)

*2 笹野さんは、赤坂ファンソンカフェで、シェフを務めてらっしゃいました。


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posted by なべ at 00:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 笹野みちるさん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

笹野みちるさん独占インタビュー(3/6)

笹野さんに人生相談その1 「有名人のリスク」

 お祭りのときに、ケーブルテレビの取材があったんですよ。カメラ来てて。で、地元の神社で祭礼がありました、ってニュースで流したらしいんです。その翌月、他のお祭りで、知らないおじさんに、至近距離で、いきなり「あんた、この前、テレビ出てたでしょ」って言われて。

 けっこうあたふたする? そういうの。

 すっごい! あたふたして。

 はっは。(笑)

 すごいビビって。

 なるほどねぇ。

 だから、信頼してる人に話して、でもその人が無意識で言ったことが、悪意のある人に拾われて、何かされたら怖い、っていうのがあって……仲間を疑いたくないから、仲間にも秘密にしてる、っていうのがあって。

 でもそれがちょっと、変わってきてるってこと?

 そうなんですよね。

 わかるけどね。私も、メジャーになって、脆弱だった頃は、裏返しで、自意識過剰になったりとかして。誰もそんなに私のこと知らんよな、って思うけれども、サングラスかけてないと怖いとか。そういうときもあったけれども、でも最近はホントに変わってきてね。素でいるけどね。あのー……けっこう大丈夫なもんやな、みたいな。なんていうのかな……リスクを回避する心構えって、あるじゃないですか。保険とかもそうだけれど。いざというときのために、っていう発想。恐怖マターで考える、みたいな。そういうことって、けっこう思い込まされてるけれど……世の中見渡しても、そうしないとあなたの安全守られないよ、って言われ続けてるけれど。でも、意外とそうでもないな、っていうさ。

 結局だからそれも、消費を煽る、ってことですよね。消臭剤とか、抗菌剤とかもね。

 強迫観念で塗りこまれてるよね。

 そうそう、強迫観念。

 それって、自分自身の生き方にも、染み込んでってるところ、あるよね。だからやっぱりね、なんていうのかな……強欲にならずに、自分自身の心のケアというか、汚れを取っていくというか。常にね。できるだけ、こざっぱりしていくこと考えて生きてたら、そんなに、悪いことは起こらないよね。もし起こったとしたら、それは本当に、必ず起こること。どうしても起こること。そういう、どうしても起こることは、あるけれども。でも、そうでない場合は、何かこれを気を付けたからどうこう、っていうことも、ないんじゃないかな。例えば、会っても、「こんにちは」って挨拶して、立ち話して、「それじゃあ用がありますから」って離れればいいだけの話で。なんか、そういうこと最初から怖れて、ルートを回避しなくてもいいんじゃないかな。その都度、その都度で、対処したら。

 ああ、そうか……。回避したルートで、また何かとあたるかもしれないですもんね。それだったら、この道を行きたいっていうのを行ったほうが。

 そうそう。縁とかさ、出会いとか。そういうのを、受け入れていく、っていうか。追っかけることも、避けることもない。そういうふうにしてたら、ホントそれだけでいいんじゃないか、っていう気はするの。



笹野さんに人生相談その2 「説教体質」

 ただねえ、私……説教しちゃうんですよ。人に対して、「お前は何でそうなんだ」って。

 あははははは(笑)

 だからその……自分が一番怖い、自分が一番危険、っていう感覚があって。相手が嫌いなんじゃなくて、相手を守るために自分を引かなきゃいけない、って思うところがあって。相手が無意識でパッと言ったことを聞いて、「こうでこうでこう思ってるから、そういう発言が出てくるんでしょ?」っていうところをつついちゃうんですよ。そういうところって、本人が、気が付きたくなかったりするじゃないですか。そこ、フタあけちゃうから。

 けっこうパンドラの箱あけて、大泣きになって、修羅場くぐって、みたいに、なるよね。それ。

 そうそう。それで、フタあけちゃうと、けっこう、なつかれるから。人間的に惚れられるだけならいいけど、それ以上になってくると……。それでなんかね、あんまり、本腰入れて人と付き合うのが面倒っていうか。

 それ、つつかなかったらいいんじゃん?

 だって気になるんだもん。

 やっぱり口に出してしまわないと気が済まない?

 うん……、たぶんこの人、こういう問題を抱えてるんだろうな、って思うと、そのままにできなくて。「こうでこうでこうなんじゃない?」って言うと、それがけっこう「どうしてわかるの?」って言われて、「じゃあ、こうしたら」って。ただ、けっこう人間の本能ってしっかりしてて、そういうのが本当にイヤで、本当にもう、上っ面のところで、あんまり難しいこと考えないで生きていきたい人は、私から即座に逃げていくんですよ。だから、寄ってくる人はだいたい、フタあけてほしい人みたいなんです。だから、だいたいあけちゃうんですけれど。

 すごくわかるよ。あたしもそういうところ、あるんよ。でも、分析がいくら正しくても、相手には何の変化も起こさない、相手が治癒しない、っていうことも、あるよね。

 ありますね……。でも、私、相手が変わるまで、トコトンやっちゃう。

 あたしもねえ、すっごいそういうことあったけど……でも、だんだん面倒くさくなってきた、っていうのあるよ。すごい労力もいるでしょ。相手のために自分の頭回したり。なんであたしはそこまでしてるのか、って。だからもう、別にええかあ、その人はその人だ、って……

 でもオフ会に来たいって言われると……。

 なるほど。ああ、そういうの、やっちゃってるとね。難しいよね。

 そうなんですよね……だから立場で言うなら、誰でもどうぞ、って言うんですけれども、本音の部分で話し始めちゃうと、「あなた、どうしてそうなの」ってなっちゃうから。相手がそれで、どうなのかなあ……って。

 まあでも、あとは自分自身が気にならなくなる、っていう線。気にならなくする。

 気にならなくする……ですか。(笑)

 動かされてたものに、動かされなくなる。

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笹野みちるさん独占インタビュー(2/6)

クリエイターに大切な「軸」

 単純に、人に好かれたいっていう思いが、あるじゃないですか。例えば、目立ちたい、とか、歌いたい、とか。表現したい、人に認められたい、っていう気持ち。そういう気持ちを強く持ってるパーソナリティっていうのは、内側、脆弱というか、脆さがあって。すぐ傷ついたり、すぐ人と比べたり、すぐ鬱になったり、すぐノイローゼになったり、というような、脆弱な精神性があるでしょ。

 ありますね。

 だから、難しいよね。そういう脆弱なものを抱えながらも、才能が本当にその人をひきずっていってしまう、っていうタイプだったら、ボロボロになっても世に名前が残るような、すごい傑出したものを出せると思うんだけれども、そんな人は一握りじゃない? 例えば自殺しちゃったり。でも、ボロボロになるけれども、有名になる人もいる。私は、そのへんは、失敗したなと自分では自覚してるんやけど。

 そうですか……?

 自分自身のメンタルをセンターに据える、軸をしっかりする、というようなことを、きちっとやってからでないと、ボロボロになるよね。外の風に左右されない軸を持って、けれど、ふんばって頑張るっていうんでもなく、もっとすーっと、自分の軸がずれない、リラックスしながらも軸がブレないメンタリティーというか。柳のようなしなやかさ、ってよく言うけれども。そういうトレーニングって、なかなかどこでも教えてもらえなかった、って思うのね。学校教育でも、どこでも。がむしゃらに努力するとか頑張るとかはあるけど。

 ええ。

 それは、いろんなアプローチでやれる。もう10年くらい前から、世の中でも言われるようになってるよね。脆弱になってしまった日本人の若者の精神的なものを、単に精神論だけで、鍛えるとか、鍛え直すとかでなく、体と心っていうのを、ちゃんとひとつにして見直そう、っていう発想。自然体のつくりかた、とか。そういうことを言い出す空気が、だんだん出てきたな、っていうのはあるから、すごくいいことやな、と思う。自分の心の育て方、っていうのかな。そういうことについて、表現とは別に、クリエイティブなことを目指す人は、気を使うべきやな、とは思う。



癒されていくこと 創作しつづけること

 でもそれって、どうしても矛盾しますよね。

 そう?

 いや、もちろん、それが大事だ、ってのはすごくわかるんですけれども、矛盾するからすごく難しいな、って感じるんですよ。

 まあ、だいたい、そういう人ってそういうところに目を向けない……なんていうか、不器用な人、多いからね。

 そうそう。それもあるし、こう……不安定だからこそ、認めてもらいたくて声をあげて、それが形になるわけであって。だから安定しつつも声をあげる、っていうのは矛盾する……だから本当に幸せになったら、たぶんクリエイティブな活動をやめてしまうんじゃないか、って。

 そこがね、そう、すごくテーマなの。

 ああ、そうなんですか。

 私も、昔に比べたら、正直言ってここ数年くらいは、別にムリして何かやらなくていいやと思うのね。切迫した表現欲求というか、「叫びたい」みたいな欲求は、ないのね。はっきり言うて。昔はあったわけ。欠落してる部分から、それを埋めようとして出てくる叫びというのがあって、そういうエネルギーを自分の中で掻き立ててやってた部分があった。例えば東京少年は、そうだったと思う。だけど、それはそれでひとつのメッセージ性があって、同じような気持ちの人が、類友みたいに集まってきて、場ができて、それでみんなで少しずつ癒された、みたいなことも、あったとは思うんだけど。

 ありました、ありました。

 ただ、癒されていくと、自分も癒されていって、人も癒されて、同じ場所にいられない。健康的になったら、それぞれの場所に戻っていく、というか。で、戻ったときに、じゃあ次、何するか、っていう問題が、必然的にテーマになってくるよね。例えば、欠落してる部分を埋めたい、というエネルギーでは、創作意欲がまったく起こらなくなる。かといって、自分はすごく幸せで健康的になってるのに、無理矢理、わざと不健康なフリをして、必死にかつての欲求を二番煎じのようにやっていったらいいのかというと……、それはそれで、より不健康な、不幸せなことだと思うから。

 それは似合わないような気が……。たぶん笹野さんは納得されないだろうな、って思います。

 ムリやったんやね。

 だから、最近思うのは、ネガティブなものを原動力にして創作をしている人が、今の日本には多いような気がして、でも、そうじゃなくて、「幸せだ」っていうこと、そして「みんなも幸せになろうよ」っていうことをエネルギーに活動するアーティストさんが、もっと増えてもいいんじゃないかって思うんですよ。

 いやあ、私もすごくそう思いますよ。

 そうそう。笹野さん、きっとそうなっていくんだろうな、って。

 すごい過渡期で。うっすらと、そういうふうになれれば嬉しいな、と思うけれど、でもそれすらも渇望ではないから。ただ、そういうふうに自分ができるんであればそうしてください、っていう祈りのような気持ちはあるんだけれども。



ビジネスでないつながり

 まあでも、極端に言ってしまったら、そういう幸せなメンタリティを自分の中でも常に持ってて、それが人に対して伝わって、それでみんなでハッピーになる、ってことが実現できる人って、なんていうのかな……結果論みたいなさ。

 結果論?

 それがやりたくて、ってわけじゃなくて……

 ああ、結果でしかない。それが目標じゃなく、目的じゃなく。

 そうそう。

 なんかこういう結果。

 そうそう。そういうような感じ。それを見誤ると、本末転倒になっちゃうから。だから私はね、目的として、表現するっていうことを、もう、あんまり重視しなくていいかなとは思う。例えば、今回みたいに誘われて、縁ができるとかね。友達とかね。そういうのをすごく大事にしていくだけでも、いいかな、って。ビジネスっていうファクターじゃない、経済的なつながりと違うつながりって、あるじゃないですか。

 ありますよね。やっぱりね、お金を追いかけるからおかしくなってることって、すごくたくさんあると思って。消費を煽る広告に、ものすごく違和感を感じるもんですから。でね、プロの定義ってものを最近、考えてて。プロ意識みたいなもの、ようするに、お客さんを前にしたときには喜ばせよう、とか。それは大事。でも、それを言ったら、わいんぐは、ほとんど仕事みたいな状態で。例えば、メールが来たらどんなに疲れてても返事をするとか。でもそれは、相手が喜ぶのが好きだから、ムリではないんですよ。それが自分の一つの楽しみだと思ってるから。そこで納得はしているんだけれども、でも稼いでいないから、社会的にはプロとは呼ばれないんだろうな、っていうのがあって。

 なるほどね。

 それで、プロを目指してる人にアドバイスみたいなことを言ってても、じゃあ自分は何だ、と思ったときに、社会的にちゃんとプロってことを認めてもらえないと、自分が言うことは通らないよな、って思って。

 今、何やってんの? 生業的なことは。

 ええと……会員さんたちにも、それこそ、さるすから数えれば10年来の付き合いなのに、ぜんぜん話してないんですよ。

 へぇー。

 自分のことを話さないのは失礼だな、っていう思いがありながら。しかも、会員さんたちは、今度結婚しますとか、色々、人生の報告をしてくれるわけですよ。私としては、それはすごく嬉しいのに、私自身は出してない、っていう……でも、もし私が今まで生きてきた過程が、誰かの役に立つのであれば、出さないで人生このまま終わるのも、もったいないかな、ってそろそろ思い始めてて。

 それ、なんでそんなに言いたくないの? 言いたくない何かがあるの?

 それはほら……王道からはずれてるっていう。

 仕事が?

 仕事は外れてないんですけれど……仕事は……ええと……パソコンとかネットワークとか。コミュニケーションとか。

 それ、微妙にそっち(わいんぐ)と、つながってるよね。

 そうそう。そうなんですよ。ネット上でのやりとりでトラブルが起きるのはなぜか、とかね。……でも本当に好きなのは数学なんですよ。

 へぇぇ。面白いね。(笑)

 できないんですけど。(笑) そう、だから、「数学得意なんだ?」とか言われて、「いや、得意じゃない。できない。好きなの」って言っても、わかってもらえないんですよ。

 面白いね。そういうのがあるんやね。(笑)

 そう。そういうのを話しだすと、なかなかわかってもらえなくて。「もういいよ」っていう、いじけた気持ちになっていくから、それなら最初から黙ってるっていうのがあって。

 でも、そんなことないよ。面白いよ。これ起こしてみたら、すごい十分面白いこと語ってると思うよ。そのまま載せたら?

 いやいやいやいや。 (笑)

 いやいや。載せたほうがいいよ。



なべの「仕事」と「わいんぐ」と「趣味」と

 なるほどね。でも、それはけっこう、趣味とか言いつつも、自分がプロとしてやってく……

 フィールドワークみたいなところ、ありますね。

 一から立ち上げてやってるんだから、すごい、いろんなことがわかるよね。

 そうですね……でも私、ずっと切り離して考えてたから。

 ぜんぜん切り離さなくてもいいじゃない。

 そうそう、全部リンクしてるっていうのが、最近わかって。

 リンクしてるよ。ある意味、好きなことしかしてない、とも言える。

 ああ……それはそうなんです。好きなことしかしたくない、っていうのは、すごくあって。

 いいじゃんね、それ。

 うーん、でも、今の仕事は、一年更新の雇用なので、プロじゃない、っていう意識があって。

 そんなことはないと思うけどね。

 でしょうか……。あと、親元にいるもんだから。独立してないから……

 ああ、そうかそうか。でもなんか、部屋借りるって書いてなかった?

 ああ、見てくださって、ありがとうございます。そうなんですけど、実家と行ったり来たりするようかな……。お囃子をやってるんですよ。

 ……え? おはやし?

 あの、お祭りの笛太鼓の、笛を担当してます。その練習があるんで……。

 それ何かのグループってこと?

 地元の囃子保存会です。あちこち呼ばれて行ったりして。高校生の頃から。

 じゃあすごい上手なんじゃん?

 どうかな……ただ、大抵、まず音が出ないんです。それであきらめちゃうんですよね。今、教えてるんですけれど、それを、どう続けてもらうか、っていうのが、工夫のしどころで。……それでね、お金の話に戻りますけれど、呼ばれて行くと、ご祝儀って形で、お金をいただくんですよ。

 そうやろね。昔からね。

 そう。もちろん、大半は保存会に入るんですけれども。道具の維持費に、そうとうお金がかかるんで、そういう費用として使わせていただいて。でも、ご馳走になって、大好きな笛吹いて、みなさんに喜んでいただいて、お金が入ってくる……だから、金銭感覚おかしいんですよ。

 いいじゃん。

 いい……ですけど。(笑) だけど、それだけで生活できるほどじゃないから。でも、仕事でもっと稼げるようになってから独立、って思ってたけれど、もしかしたら、今の仕事が臨時雇用でも、部屋借りて、それで生活を回せたら、それで独立って言えるんじゃん、プロって言えるんじゃん、って。

 そうやね。自分の気持ちの問題だけやからね。

 ですね。そう、何かになりたい人、って、「こうあるべき」っていうイメージを強く持ってると思うんですよ。でも、「あなた、こんなにいいところあるのに」って、本人が気が付かない良さがあったりして。だけど、人に対してそう思ってたけど、もしかして自分自身も、独立に対する漠然としたイメージに、とらわれすぎてただけなんじゃないか? って。


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posted by なべ at 00:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 笹野みちるさん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

笹野みちるさん独占インタビュー(1/5)

雑誌わいんぐ30号スペシャル企画 笹野みちるさん独占インタビュー
…のはずが、対談?
タイトルデザイン:鮭  


1988年に、「東京少年」のボーカリストとしてデビューし、2008年に20周年を迎えられた、
笹野みちるさん。その歌声、作詞作曲された作品はもちろんのこと、著書や数々の
インタビューからも、そのお人柄や、生きる姿勢の素晴らしさが感じられる方です。

待ち合わせの場所に、笹野さん登場。何からお訊きしよう……と思っていたら、
笹野さんのほうから「ホームページ見せてもらったよ」と、話しかけてくださいました。
(逆インタビュー?!)
今回、わいんぐ30号記念ということで、わいんぐ&なべの紹介も含めて、お届けします☆

雑誌わいんぐ30号に掲載した記事を、ネットでも公開!
ではさっそく、お読みください♪



わいんぐ創刊までの流れ

笹野(以下「笹」) 何年くらいやってんの?

なべ(以下「な」) わいんぐは、今年(2008年)の5月で丸7年です。最初は、新宿にある日本ドリコムっていう会社が、『さるす』っていう雑誌を発行してて。その会員(=読者)だったんです。

 同人誌系とか?

 いえ、進学情報の会社です。『さるす』は、前半が編集部の特集記事、後半が読者の投稿コーナーっていう雑誌だったんですけれども、1998年6月号で、大改革っていう宣言があって、全面的に読者に開放になったんです。で、次の夏号から、表紙も巻頭特集も、会員のイラストと記事になって。「これはすごい!」と思って。[→さるすの表紙

 へぇ〜。でもそれ、売り物なんでしょ?

 いや、それが、無料で希望者に送付してたんですよ。

 なんでそんなことできるんやろね。

 私もそれが不思議で。最初に編集部に遊びに行ったときに、真っ先に訊きました。そうしたら、社内的にちゃんとビジネスとして成り立ってる、っていう仕組みがあって。

 それ、面白いね。よう考えるね。

 そうなんですよ。無料で、しかも、読者は受験生だから、ほら、受験の頃って、色々考えますよね。だから、社会問題についての投稿とか、将来の夢を語る投稿とか、たくさんあって。

 もう、オアシスみたいなもんやね。駆け込み寺的な。

 まさに、そうでした。それで、編集部に「何かやりたいです」って手紙書いたら、編集長から「1ページ何かやりますか」ってお返事いただいて。めちゃくちゃ舞い上がって。(笑) それで、次の秋号で、『なべの北海道特集』っていう記事を書かせていただいたのが最初だったんです。そのときに、北海道の会員さんたちにアンケートをお願いして、参加型の記事を作る、っていうアイデアを編集長から学んで。その後も、編集部に遊びに行っては記事作って。ギャラも何もないんですけれど。

 そうなんや。ボランティアやったんや。

 ボランティアっていうよりも……もう、こんなにページいただいて、書かせてもらえるなんて、っていう感じで。

 こっちがもう、ありがとう、みたいな。

 そうですね。他の会員さんたちも遊びに来て、みんなでお昼食べたり。イラストを編集部の壁にペタペタ貼ったり。

 へぇ。なんかすごい牧歌的な編集部やったんやね。

 そうですね。しかも、ちょうどインターネットが広まり始めた頃で、世の中では匿名で交流するような風潮が出てきてたのに、さるすの会員さんたちは、「誌面の交流だけじゃなくて、実際に会いたいよね」って言ってて。それが、すごくいいなあ、って。それから3年くらいして、さるすが休刊になる、ってことで、わいんぐを始めたんです。



なべのポジション

 なべちゃんは、何をやってたの?

 ええと……会員さんの疑問に勝手に答える記事を書いたりとか、ネット環境がないっていう会員さんがいるから、タダネットスポットを取材して記事にしたりとか。

 もともと、投稿してたときは?

 ぜんぜん投稿してませんでした。悩みの投稿なんか見ると、返事書きたくなるんだけれども、返事を考え始めると全員に書きたくなるから、そんなに誌面占領できないし、ってことで、結局投稿できなくて。

 最初から、クリエイティブの現場にいるというより、裏方志向で来てるわけだ?

 クリエイティブは……無理だと思ってたんで。

 じゃあ、すごく編集とかルポライティングとかに興味があったの?

 そういうわけでもなくて……本読むのは好きだけれど、作る側に回るなんて、ぜんぜん考えたこともなくて。

 人の話を聞いて、なんか答えたい、っていう?

 それはあったのかもしれません。中学生の頃にも、みんなにからかわれながら、おちゃらけてる子と、一対一になると、しんみりした話になったりとか。

 それでずーっと来てるんだ、じゃあ。

 そういえば……ずーっと来てますね。(笑) だから、作家になりたいとか、歌手になりたいとか、なくて。寺山修司さんが「職業は寺山修司です」って言ってた、っていうのを知って、それいいな、って思ったり。でも、自己主張はものすごくあるんです。けれども、自分で何かを創って発信するっていうよりは、こういういいものがあるよ、って伝えるのがメインで。

 そういうことに情熱を持つ?

 情熱というか……うまく力が抜けるというか。趣味で小説書いたり作曲したりもしてたんですけれど、それを商品として出す、プロになる、ってことは、考えられなくて。それよりも、「こういう良いもんがあるよ、どう?」って。だから、パイプ役なのかな、って。会員さん同士に対しても、ある漫画が好きだ、って知ったら、「〇〇さんも、それ好きだよ」って伝えたり。人と人をつなぐ。

 その役割が好きなんやね。気がついたらそうしてるって。

 いやあ……あんまり自分の好きな物を主張すると、それが嫌いな人に引かれちゃうかな、とか。それ以上に、「そんなもの好きなの?」って言われるんじゃないか、って。恐怖心が強くて。みんなが好きにならないものを好きになる、王道からはずれてる、っていうのが、ずっとあって。『へんな子』で来てるから。(笑)

 でも逆に、だから編集長のコーナーみたいなさ、好きなこと語るところがあるんじゃないの? ぜんぜんいいのに。(笑)

 語れてたら、きっと、とっくに何かになってますよ。(笑) だからなおさら、自分を反面教師として、他の人に、「やりたいなら、やってみようよ」って言う、っていうのはあると思うんですよね。

 いいんじゃない? 会員さんたちは、すごく幸せよね。

 だといいですね。ただ、会員さんたちも、仕事が忙しくなって、投稿も減ってて。それで、創作でプロになる、っていう道は考えれらないか、ってことを、最近、改めて考えているんです。そこで、大きなステージでのご経験もあり、ファンの方と近い距離での活動もされてらっしゃる、笹野さんに、ぜひお話をお聞きしたいと思って、今回、お願いさせていただきました。

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posted by なべ at 00:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 笹野みちるさん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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